iDeCo 2022年制度改正

社会保障制度

読者の皆さんは確定拠出年金には入っているでしょうか?公的年金は20歳以上は基本的に全員強制で加入させられる制度ですが、公的年金だけでは老後の生活を成り立たせるのは難しいです。(国民年金は年額約78万円、厚生年金は国民年金と合わせて平均年額約170万円)
そんな時に役立つのが確定拠出年金です。確定拠出年金は毎月自分で自分の年金を積み立てし、運用することで将来もらえる年金を確保します。掛け金が全額所得控除でき、節税しながら運用ができるので、本来は大勢の国民が加入すべきですが、まだまだ加入者が少ないのが現状です。そのため確定拠出年金の制度が幾度となく改正され、より加入しやすくなりました。確定拠出年金には企業型確定拠出年金と個人型確定拠出年金(iDeCo)があり、2022年4月より制度改正があります。今回の記事ではiDecoの制度改正について解説します。

・加入要件が拡大
今まではiDeCoの加入要件は20歳以上60歳未満の人が対象でした。しかし2022年4月より国民年金被保険者であれば加入できるようになります。
国民年金は20歳以上60歳未満の人が被保険者になりますが、任意加入することで60歳以上65歳未満も加入できます。つまりiDeCoも最大65歳未満まで加入することが可能となります。
※企業型確定拠出年金は70歳まで加入可能になります
なお国民年金に任意加入できる要件は以下の全てを満たす人が対象となります。

なお厚生年金被保険者は60歳以降も厚生年金保険に加入できますが、厚生年金に加入していると国民年金にも加入していることになります。つまり厚生年金被保険者は60歳以降もiDeCoに加入できます。厚生年金に加入できる最大年齢は70歳までですが、国民年金部分は65歳までです。つまり厚生年金被保険者も最大65歳になるまで加入可能となります。
加入要件の緩和は2022年5月より施行となりますので注意しましょう。

・受け取り開始可能時期が延長
iDeCoで運用した資産は60歳から70歳の間に受け取りを開始しなければなりませんでしたが、今回の改正により受け取り開始可能年齢が75歳まで延長されます。年金の繰り下げ支給が75歳まで延長されたので、iDeCoも一緒になった形です。
※参考記事 ⇒ 厚生年金法改正 在職老齢年金の改定 繰り上げ支給・繰り下げ支給の選択肢の変更
60歳から75歳までの15年の間に受け取りを開始すればよいので、ライフプランの選択肢の幅が広がった形になります。なお受け取り可能年齢は加入期間によって異なるので注意しましょう。

例えば10年間加入した人なら60歳から75歳になるまでの間に受け取りを開始すればいいわけです。

・企業型確定拠出年金との同時加入の要件が緩和
2022年3月までは企業型確定拠出年金(以下企業型DC)に加入している人はiDeCoに加入するには労使の合意が必要でした。企業型DCの事業主掛け金は月額5.5万円までですが、iDeCoとの同時加入をするには、事業主掛け金を3.5万円まで引き下げなくてはなりませんでした。
今回の改正により企業型DCに加入している人は労使の合意が無くても加入が可能となります。また事業主掛け金の引き下げは不要となります。
ただし企業型DCとiDeCoの掛け金の合計は月額5.5万円まで、かつiDeCoの掛け金は月額2万円までとなります。掛け金合計は変わりません。
(ex)企業型DC:4万円、iDeCo:1.5万円などの組み合わせが可能となる。
企業型DCとの同時加入の要件緩和は2022年10月からの施行となります。

これのメリットはiDeCo特性にあります。企業型DCは金融機関は企業が指定しますが、iDeCoでは自分で自由に選ぶことが出来ます。また商品ラインナップも企業型DCは企業が選択し、最大35本までと定められていますが、iDeCoでは自分で選定した金融機関の商品から自由に選ぶことが可能です。つまりより自由度が高いのがiDeCoと言えるでしょう。しかしiDeCoは口座管理料を自分で負担するのに対し、企業型DCでは口座管理料が会社持ちなのがほとんどです。企業型DCとiDeCoを併用する場合は、どの割合にするかよく吟味すべきでしょう。

ついでに企業が企業型DCの他に厚生年金基金や企業型確定給付年金(以下企業型DB)など他の制度を用意してくれている場合の掛け金も確認しておきましょう。
企業型年金が企業型DCだけの場合は月額5.5万円まで拠出可能ですが、他の企業型年金が用意されている場合、企業型DCの掛け金は月額27500円までとなります。さらにここにiDeCoを併用する場合は企業型DCとiDeCoを合わせて27500円までとなります(ただしiDeCoは12000円まで)。

現状では企業型DBなどが用意されていると、企業型DBの掛け金に関係なく企業型DCは27500円までとなっています。これが2024年12月からは企業型DCの掛け金は5.5万円から企業型DBの掛け金を差し引いた額になる予定です。(つまりDCとDBを合わせて5.5万円)

・ポータビリティが充実化
iDeCoへは企業型DC、企業型DBなどからのポータビリティが可能です。ポータビリティとは持ち運びを意味し、各自が企業年金やiDeCoで積み立てた資産は別の企業年金やiDeCoに移管することが可能です。今回の改定により企業型DBが終了した場合、これをiDeCoに移管することが可能となります。
これによってiDeCoへの移管は、中小企業退職金共済以外の全ての企業年金から可能となります。
※iDeCoからは企業型DC、企業型DBへの移管が可能です


また企業型DCにおいては、退職等により企業型DCを脱退する場合、通算企業年金への移行が可能となります。ここで通算企業年金について知っておきましょう。
通算企業年金とは企業年金連合会が支給する年金制度です。厚生年金基金や企業型DBの中途脱退者が脱退一時金相当額を企業年金連合会に移換した場合や、基金の解散・終了によって加入者や年金受給者が残余財産分配金を企業年金連合会に移換した場合に、企業年金連合会は移管された資産を運用し、生涯にわたり支給する年金です。(つまり終身年金)
※80歳までの保証期間のある、保証期間付き終身年金です。保証期間付き終身年金とは保証期間までは生死に関係なく支給され、保証期間後は生存している限り支給されます。
原則65歳から支給され(60歳までの繰り上げ支給も可。ただし減額される)、年金額を算定する予定利率は0.5~1.5%です。

ポータビリティの拡大は2022年5月から施行となります。

以上2022年からのiDeCoの制度改正について書いてみました。社会保障制度は社会情勢によって常に変化していきます。今度もiDeCoなどの自分年金の制度はどんどん変わっていくでしょう。そしてiDeCoや企業型DCは大勢の人が活用すべき制度です。仮に月3万円、年間36万円、30歳から60歳までiDeCoで積み立てたとしましょう。年利4%で運用したとします。この場合年金終価係数を用いて計算すると30年で2019万円になります。
※年金終価係数は過去記事で復習して下さい ⇒ 使いこなしてほしい6つの係数
たったこれだけで老後2000万円問題は解決です。また拠出額は全額所得控除になるので一石二鳥です。このように社会保障制度を上手く活用して老後資産を作り、その他に高配当株投資や不動産投資を行って、若く体力のあるうちにより自由な生活を作ってもらえればと思います。

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