短時間労働者の健康保険、厚生年金の適応の拡大について

社会保障制度

令和4年から健康保険、厚生年金の被保険者の適応が拡大されます。これにより健康保険、厚生年金に加入する人が増えてくるでしょう。今回の記事では健康保険、厚生年金(以下社会保険と記します)の被保険者になる条件と、それがどのように拡大していくかを確認します。

まず社会保険の被保険者になる要件について確認しましょう。
健康保険、厚生年金の被保険者の適応条件については基本的に同じであり、被用者(雇われている人)がいる以下の事業所は健康保険、厚生年金に強制加入しなくてはなりません。

・法人(業種、従業員数に関係なく)
・従業員が常時5人以上いる個人事業

※「従業員が5人以上いる個人事業」においても、個人事業主は加入できません

上記の事業所(適応事業所といいます)は従業員を社会保険に加入させる義務があります。しかしパート、アルバイトなどの短時間労働者は一定の条件を満たした場合のみ、社会保険に加入することができます。一定の条件とは以下の全てを満たす場合です。

・1週間の労働時間が通常の労働者の4分の3以上
・1ヶ月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上


しかし平成28年10月より社会保険の被保険者数が500人超(501人以上)の企業(特定適応事業所といいます)においては、以下の全てに該当する従業員は被保険者となることになりました。

・1週間の所定労働時間が20時間以上である
・月額の賃金が88000円以上である
・雇用期間が1年以上の見込みである
・学生等ではないこと


これにより多くの短時間労働者が社会保険の被保険者となることが出来るようになりました。

このようになった背景には、労働の多様化(非正規雇用者の増加)が進む中、社会保障制度を働き方に中立的な制度とする必要になったことが挙げられます。また高齢化が進むため、生涯現役社会を実現させなくてはなりません。そのため被用者が広く被用者保険でカバーされる仕組みが必要になったわけですね。
社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)は労使折半です。被用者は会社に社会保険料の半分を払ってもらえます。さらに健康保険には傷病手当金や出産手当金もあります。また国民年金では年金保険料を20~60歳の満額を納めても、年額約78万円(毎年微妙に変わります)しかもらえませんが、厚生年金に加入すれば「国民年金+厚生年金の報酬比例部分」が支給されます。社会保険の被保険者になれた方が、雇われている間の生活がしっかりカバーされ、また将来的にもらえる年金の額も上がるため、より働きやすく、長い人生設計に役立つわけですね。

そして令和4年10月より社会保険の適応の範囲が以下のように広がります。
・特定適応事業所 500人超⇒100人超
・雇用見込み期間 1年以上⇒2ヶ月以上

さらに令和6年10月からは以下のようになります。
・特定適応事業所 100人以上⇒50人超

まとめると下図のようになります。

特定適応事業所の要件が大幅に緩和されているので、該当する人も増えるでしょう。週20時間以上の労働、月額88000円以上の賃金なら、時給1000円の仕事を1日8時間の週3日とか、1日4時間半を週5日程度の労働で社会保険に加入できます。より自由な働き方を望むなら、このような働き方をして社会保険で生活を守ったうえて、副業で好きなことをやって稼ぐなどどいう生活スタイルも可能になります。短時間労働をしている方や、今後より自由な働き方を目指している人は、是非ご自身の職場を確認してみて下さい。

なお特定適応事業所に該当しない会社であっても、労使の合意で社会保険の被保険者になることも可能です。特定適応事業所でない会社でも労働組合がある場合は、組合に議案を提出してみるのもいいでしょう。

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