特定支出控除 使えるか試してみて

税金の知識

会社員の方が自営業の人に比べて圧倒的に不利なのが経費が計上できないことです。個人事業主なら移動交通費や打ち合わせのための食費、あるいは接待費など様々なものが経費となり、この金額は所得とならないので税金がかかりません。一方会社員は会社が補助してくれるもの以外は、税金が払われた後の給料から捻出しなくてはなりません。この差は大きいですね。しかし会社員でも一定のものは経費にできます。これが特定支出控除です。知らない人が圧倒的に多いので、今回はぜひ特定支出控除について知って欲しいと思います。

まず始めに会社員も給与から一定の控除がされていることを確認しましょう。これが給与所得控除です。
会社員でもスーツや靴、その他事務用品などの購入、身だしなみのための散髪代などにお金がかかります。それらを概算で経費として控除してくれます。これが給与所得控除ですね。

給与所得控除の計算式は上記のようになります。
例えば給与収入500万円の人なら 500万円×20%+44万円=144万円 が給与所得控除になり、給与所得は 500万円ー144万円=356万円 となります。

ここからさらに一定の要件を満たしたものが特定支出控除として、給与所得から控除できる仕組みです。控除の対象となるものには以下のものがあります。

・通勤費
勤務先から通勤手当として支給されているものは除かれます。別途支出したものです。公共交通機関の他に車のガソリン代、駐車場代の含まれます。

・転居費

転勤などに要した費用ですね。引っ越し代だけでなく、途中で宿泊する必要があった場合はその宿泊費も含まれます。

・研修費
職務に必要な知識や技術を取得するための研修に要した費用です。研修を受けるための交通費も含まれます。

・資格取得費
職務に必要な資格を取得するために要した費用です。雇用保険の教育訓練給付金が支給された場合は、その額を除かなくてはなりません。平成25年より弁護士、公認会計士、税理士、医師、歯科医師などの国家資格の取得費も特定支出の対象となりました。

・帰宅旅費
単身赴任者が単身赴任先と自宅の移動のための交通費がこれに該当します。ただし1ヶ月に4往復が限度となります。

・勤務必要費
職務に関連する図書費、勤務のために必要な衣服費(スーツ、作業服など)、職務に関係する接待のための費用(交際費)などが相当します。ただし65万円が限度となります。

これらの費用が給与所得控除の半分を超えた場合、その超えた分を給与所得から差し引くことができます。

注意しなくてはならないのは会社から支給された分は対象となりません。あくまで自腹を切った分です。転居費用や研修費用、接待費用等を会社が出してくれる場合は対象外です。しかし会社が出してくれない場合や、会社からの補助を超えた分の金額は控除の対象となります。

例えば年収400万円の会社員が年間でスーツ代として10万円、外回りの際に会社から支給されなかったガソリン代や駐車場代が3万円、業務に必要な知識を得るための書籍代として10万円、研修に5万円、資格取得費用として20万円、得意先との接待で10万円、転勤することになり引っ越し費用が10万円かかったとします。
これらの合計は 10+3+10+5+20+10+10=68万円 です。
年収400万円の給与所得控除は 400万円×20%+44万円=124万円 給与所得控除の半額は124万円÷2=62万円 です。
つまり 68万円ー62万円=6万円 が特定支出として控除されます。
この場合の給与所得は 400万円ー124万円ー6万円=270万円 になります。

実際に計算すると分かりますが、なかなかの金額を支出しないと控除になりません。特定支出控除を最も活用できるのは勤務医でしょう。医師は給与は高いかもしれませんが、多くの研修、学会発表、複数の病院を掛け持ちしていることが多いので移動交通費も結構かかります。また勉強のための書籍も専門書なので高額になります。勤務医の人は給与は高くても、手出しが多いのが特徴です。また多忙な毎日でいちいち税金の事を勉強する暇もありません。実際に勤務医の人が特定支出控除を使ったらかなりの額が還付されたなんて事例もあります。
※開業医は個人事業が多く、収入は給与所得ではなく事業所得です。ほとんどが経費になるので関係ありません。

しかし勤務医以外の人でも職務に必要になる資格を取得する場合は使えるかもしれません。資格取得スクールに通った場合、結構高額になることも多いですからね。

最後に、特定支出控除を受けるには給与支払者(会社)の証明書を添付して確定申告する必要があります。
証明書はこちらからダウンロードできます ⇒ 国税庁HP 給与所得者の特定支出に関する証明書

また証明書をもとに給与所得者の特定支出に関する明細書を作成します。
明細書はこちらからダウンロードできます ⇒ 給与所得者の特定支出に関する明細書

確定申告書に特定支出に関する証明書と明細書を添付して提出して終了です。
※領収書やレシートは必ず取っておきましょう。
実際にやるとなるとちょっと面倒くさいですが、資格取得などでに多く支払った時や、スーツ代がかさんだ時は試してみるとよいでしょう。また普段からレシートや領収書をとっておいて、節税に対する意識を持っておくもの大切です。

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