私は投資推進派であり、基本的には全員投資すべきだと思っています。投資には様々な種類がありますが、最も堅実かつ確実なものが投資信託でしょう。iDeCoやつみたてNISAも投資信託ですし、リスク分散の面からも投資信託ほど優れた投資方法は無いでしょう。ただ私は投資信託よりもETFの方が若干好きで、ETFでもそれなりに投資しています。投資信託とETF、仕組みがほとんど同じですが、若干の違いがあまりよく分かっていない人も多いです。今回の記事で投資信託とETFの違いを理解してもらい、ご自身にあった運用スタイルを作ってもらえればと思います。
まず投資信託について確認しましょう。
投資信託とは数多くの投資家から資金を集め、これをまとめて投資の専門機関が運用、管理を行い、その運用成果を投資家に持ち分に応じて還元させる金融商品を指します。(この仕組みを集団投資スキームといいます)

証券市場に投資する際には国内外の株式、債券などに幅広く分散して投資されます。このように投資家にとっては ・少額で始められる ・広く分散投資できる ・運用はプロに任せられる といったメリットがあります。
この投資信託ですがインデックス型とアクティブ型がありますが、このインデックス型投資信託が東京証券取引所などに上場するものがあります。これが上場投資信託(Exchange Traded Funds)つまりETFです。つまり投資信託とETFの違いは証券取引所に上場しているかどうかです。では証券取引所に上場するとどのようになるのでしょう?これを詳しく見ていきます。
・取引可能時間
投資信託は証券会社や銀行など、販売会社での店頭販売となります。そのため取引可能時間帯は販売会社の定める時間となります(通常は15時まで)。販売会社の定める時間を過ぎた注文は翌日の注文となります。
一方ETFは上場しているので、証券取引所が開いている時間が取引可能時間となります。つまり9:00~11:30(前場)と12:30~15:00(後場)です。※2024年からは後場は15:30までとなる予定です
・価格変動
投資信託の基準価格は1日1回のみ更新されます。投資対象となっている株式、債券等の評価額決定後に基準価額を計算し直すためです。一方ETFは証券取引所が開いている時間帯はリアルタイムに価格が変動します。ETFは上場しているためリアルタイムに取引が行われるからですね。
・手数料
基本的に手数料は投資信託よりETFが安めです。中身を見てみましょう。
投資信託もETFも購入時、運用中、売却時にそれぞれ手数料がかかります。運用中には信託報酬がかかります。この信託報酬が投資信託より安くなっています。投資信託は、信託報酬を販売会社(証券会社等)、委託者(運用会社)、受託者(信託銀行)に支払いますが、ETFは上場しているため販売会社に支払う信託報酬がありません。そのため投資信託より手数料が安くなっています。
・商品数
投資信託とETFでは圧倒的に投資信託の方が商品数が多いです。投資信託のうち上場したものがETFなのでこれは当然でしょう。2021年末時点で投資信託は5923本ありますが、東京証券取引所に上場しているETFは261本です。
・注文の仕方
ETFは指値注文と成行注文のどちらもできます。前述したように上場しているのでリアルタイムに値段が変わるためですね。これに対して投資信託は指値注文はできません。投資信託は申込み時点ではまだ基準価額は決定していません。買い注文の締め切り後に基準価額が算出され、約定価格が決定します。
※この方式をブラインド方式といい、取引の公平性を保つために採用されています。
・つみたてNISAでの取り扱い
投資信託もETFのどちらもつみたてNISAでの取り扱いがあります。つみたてNISAの対象商品は、金融庁が定めた基準をクリアした長期積み立て、分散投資に適した商品になりますが、つみたてNISAの採用基準は投資信託とETFでは異なります。
※つみたてNISAの投資信託、ETFの採用基準はこちらを参考にして下さい ⇒ SBI証券 つみたてNISAの対象商品は、どのような基準で選定されているのですか?
つみたてNISA対象の投資信託は200本ほどありますが、ETFは2022年4月時点で7本のみです。基準を満たすETFが少なく、つみたてNISAで対象となる投資信託はノーロード型、信託報酬も少なめ、信託財産留保額も無料と、手数料におけるETFの優位性が小さくなっています。そのためほとんどの証券会社でつみたてNISAでETFの取り扱いをしていません。(大和証券のみ取り扱っています)
以上の理由からETFをつみたてNISAで運用するのは困難です。
・分配金について
投資信託は、「分配金あり」と「分配金なし」があり、さらに「分配金あり」は「分配金再投資」と「分配金受け取り」があります。「分配金なし」は運用益が投資家に支払われることなく再投資されるため、複利効果を受けやすくなります。「分配金再投資」は分配金が支払われたら課税されますが、課税後の分配金が自動的に投資信託の購入に充てられるため(この場合の購入手数料はかかりません)、「分配金なし」ほどではありませんが、こちらも複利効果があります。
一方ETFの分配金は再投資される仕組みはありません。再投資する場合は分配金受け取り後に自分で購入する必要があります。分配金は課税され、また購入する際も購入手数料がかかることになります。
投資信託とETFの違いを一通り書いてみました。
どちらも一長一短ですね。個人的には手数料が安く、価格もリアルタイムで分かるETFが好きですが、資産形成をするには複利効果を存分に得られる、分配金なしor分配金再投資の投資信託を、つみたてNISAで非課税で長期間運用するのが最も合理的でしょう。
しかしそれでもETFは購入した方がいいと思います。なぜなら分配金、配当金こそが真の不労所得だからです。資産形成中も人生を楽しむべきであり、それ用の資金としては分配金、配当金が最も適しています。
私の持論では投資信託もETFも両方買うべきです。つみたてNISAで投資信託を運用して資産形成をする一方で、高配当ETFを購入しキャッシュフローを増やしていきます。その手法としては2024年から開始される新NISAが向いているでしょう。
新NISAの2階部分で高配当ETFを購入します。1階部分で投資信託を購入し、資産形成します。

5年たったら1階部分はつみたてNISAにロールオーバーします。これにより1階部分はさらに20年間運用が可能です。

※新NISA、ロールオーバーについては過去記事をもう一度ご覧下さい ⇒ 新NISA 2024年になる前に予習 新NISAへのロールオーバー
2階部分はロールオーバーできませんが、5年間は配当金の非課税メリットを味わえます。その後は手数料の安いor高配当のETFを買い続けてキャッシュフローを地道に増やしていきます。私はSPYD、HDVが好きです。このETFはキャピタルゲイン、インカムゲインの両方が期待できます。VIG、VTI、VOOなどもいいですが配当利回りが少なめですので、キャッシュフローを目的とすると若干物足りないですね。VYMは配当利回りそこそこ、キャピタルゲインもそこそこといった印象です。あくまで私の好みのやり方ですが、ETFは配当利回りを優先し、キャピタルゲインもそこそこ欲しいといった選び方です。資産形成についてはつみたてNISAで投資信託です。
以上、投資信託、ETFの違いと、それらの特徴を生かした投資法、個人的な運用スタイルを紹介しました。投資のやり方は人それぞれなので正解はありません。ただし投資商品の内容を正しく知ることによって、より理にかなった運用スタイルができると思います。また投資商品、制度ついて中身をじっくり説明する記事を書きたいと思います。

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