FPの試験を受けたことがある人なら3級、2級で必ず6つの係数を勉強したと思います。現価係数、終価係数、減債基金係数、年金終価係数、年金現価係数、資本回収係数の6つですね。この係数を実生活で活用されている人は僅かでしょうが、資産運用を行うに当たって意外と便利です。全員にこの係数を活用して欲しいので、今回記事にしました。
それでは6つの係数を1つ1つ解説していきます。6つの係数を説明するにあたって、サンプルに用いるのは年利1%で10年間運用したケースです。年利1%の係数は以下のようになります。

・現価係数
一定の利率で複利運用して将来の目標額を貯めるのに、現在必要な額を算出する係数です。つまり「必要な元手(元本)」のことですね。
例えば年利1%で複利運用して、10年後に100万円貯めたいとします。その場合は現価係数は0.905になります。この場合100万円×0.905=90万5000円となります。
・終価係数
一定の利率で複利運用した場合、将来いくらになるのかを算出する係数です。例えば100万円を年利1%で複利運用して10年後の額を知りたいとします。この場合の終価係数は1.105となるので 100万円×1.105=110万5000円になります。
現価係数と終価係数ば逆数の関係になります。また図にしますと以下のようになります。
※係数は言葉で覚えるより図にしたイメージした方が断然理解が早いです。是非図を活用して下さい。

・減債基金係数
一定の利率で複利運用しながら、毎年一定額を積み立てながら目標の額を貯めたい時、毎年いくら積み立てればいいかを算出する係数です。例えば複利1%で運用しながら、10年で目標額1000万円を貯めたい時、減債基金係数は0.096なので、1000万円×0.096=96万円になります。年間96万円貯めて運用すれば10年で目標に達するわけですね。
・年金終価係数
一定の利率で複利運用しながら、毎年一定額を積み立てた時、将来いくらになるのかを算出する係数です。例えば複利1%で運用しながら、毎年100万円を積み立てた時、10年後の額を知りたいとします。この場合の年金終価係数は10.462なので、100万円×10.462=1046万2000円になります。
減債基金係数と年金終価係数ば逆数の関係になります。また図にしますと以下のようになります。

・現金終価係数
一定の利率で複利運用しながら、毎年一定の額を取り崩す時、いくらの元手があればよいかを算出する係数です。例えば複利1%で運用しながら10年間、毎年100万円を取り崩したいとします。この時の年金終価係数は9.471なので、100万円×9.471=947万1000円となります。つまり947万1000円あれば、この取り崩しが可能になるわけです。
・資本回収係数
一定の利率で複利運用しながら、毎年一定の額を取り崩す時、いくら取り崩せるかを算出する係数です。例えば複利1%で運用しながら10年間かけて、1000万円を取り崩したいとします。この時の資本回収係数は0.106なので、1000万円×0.106=106万円となります。つまり毎年106万円取り崩せるわけです。リボ払いや、元利均等返済方式のローンなども資本回収係数の考え方になります。
年金現価係数と資本回収係数ば逆数の関係になります。また図にしますと以下のようになります。

以上の説明で6つの係数の意味が分かりましたでしょうか?
具体的な数字は複利の利回り、運用期間によって変わってくるので、覚えるのは不可能です。算出する計算式はあるのですが、非常に複雑なので以下のサイトを利用するのが便利です。
⇒ ke!san生活や実務に役立つ計算サイト

具体的な活用方法として
「FIRE生活をするため45歳から40年間、複利4%で運用しながら毎年300万円取り崩したい」
とします。まずそのために必要な元手を算出するには年金現価係数を用います。
上記のサイトで算出すると年金現価係数は19.793なので
300万円×19.793=5937万9000円 必要になることが分かります。
この金額を年間利回り4%の投資信託やETFに投資して、20年間で貯めたいとします。この場合は減債基金係数を用います。上記のサイトで算出すると減債基金係数は0.034なので
5937万9000円×0.034=201万8886円 積み立てればよいわけになります。
毎年200万円以上積み立ては厳しそうなので、複利5%にすると、減債基金係数は0.03なので
5937万9000円×0.03=178万1370円 これなら頑張ればできそうです。
こんなシュミレーションが可能になります。
また住宅ローンを組むとする時のシュミレーションも可能です。
住宅ローンの多くは元利均等返済方式なので、仮に年利0.7%の35年ローンを組みたいとします。この場合の資本回収係数は0.032なので、仮に3000万円のローンを組むとすると
3000万円×0.032=96万円 月々に直すと96万円÷12ヶ月=8万円
月8万円の支払いはちょっと厳しそうなので、ローンを2500万円にすると
2500万円×0.032=80万円 月々に直すと80万円÷12ヶ月=6万6666円 これなら払えそうです。
頭金500万円を複利4%で10年で貯めるなら、この場合の減債基金係数は0.083なので
500万円×0.083=41万5000円 月々に直すと41万5000円÷12ヶ月=3万4583円 積み立てれよい。こんな感じの積み立て計画、支払い計画が立てられます。
利回りは変動するのが当たり前ですし、常にシュミレーション通りにいくとは限りません。しかし運用期間が長くなればシュミレーションに近づいていきますし、ある程度の将来の見通しを立てるのは大切なことです。是非6つの係数を覚えて資産運用や人生設計に役立てて下さい。

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