金融庁が令和5年度税制改正大網において、2024年から開始する新NISAについて公表しました。このブログのはじめの頃の記事(※新NISA 2024年になる前に予習)で紹介した時の内容とは随分変わった内容になっています。
ちまたでは神改正などと騒がれており、様々な人が解説しています。今回の記事では他の記事に負けにように、新NISAについて分かりやすく解説したいと思います。
早速ですが新NISAの特徴について1つ1つ見てみましょう。
・中身について
現行のNISA制度は一般NISAとつみたてNISAの2種類です。しかし2024年以降の新NISA制度はこれらが一体化された形になります。その内容は成長投資枠とつみたて投資枠に分けられます。一般NISAに相当する部分が成長投資枠、つみたてNISAに相当する部分がつみたて投資枠です。まさしく一般NISAとつみたてNISAの統合ですね。
ただし成長投資枠でもレバレッジ投資信託、監理銘柄、整理銘柄には投資不可になります。この辺は投資のギャンブル性を取り除くためですね。
※監理銘柄:上場廃止の恐れのある、または上場廃止申請が行われた銘柄
整理銘柄:上場廃止が決定した銘柄
成長投資枠はスポット投資、積み立て投資のどちらもでき、つみたて投資枠は積み立て投資のみです。この辺も一般NISA、つみたてNISAと同じです。
・投資可能期間、非課税期間の恒久化
現在の一般NISAの口座開設が可能なのは2023年まで、つみたてNISAは2042年までです。そして非課税期間が一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年です。つまり口座開設が可能な期間、口座開設後に非課税で運用ができる期間に期限があったわけです。しかし新NISAは2024年1月以降、投資可能期間と非課税期間がいずれも恒久化されます。
つまり1つ目のポイントとして、口座開設がいつでも可能になるということになります。2つ目のポイントして、口座開設後は無期限に非課税運用が可能となるわけです。
・投資枠の拡大と生涯投資枠の設定
現在の一般NISAの投資枠は年間120万円、つみたてNISAは年間40万円です。新NISAでは成長投資枠は年間120万円になり、つみたて投資枠は年間240万円まで投資可能となります。現在の制度からの大幅な拡大ですね。
しかし投資枠が増えたとはいえ、毎年これだけの金額を無期限に投資できるわけではありません。生涯投資枠が設定されるからです。
現在の制度では一般NISAは年間120万円×5年の計600万円まで投資可能で、つみたてNISAは年間40万円×20年の計800万円まで投資可能です。そして一般NISAとつみたてNISAの併用はできません。
新NISAが開始されると、生涯1800万円までの上限が設定されます。ただし成長投資枠は1200万円までなので注意が必要です。この辺は長期積み立て投資を推進したい意図が組みとれますね。
ここで1点朗報があります。生涯投資枠が設定されるのは2024年からです。つまり2023年までの投資枠は生涯投資枠にカウントされません。今まで一般NISA、つみたてNISAで投資していた分とは別枠なので安心して下さい。
生涯投資枠は時価ではなく簿価です。簿価とは取得時の価格です。例えば株式や投資信託を1000万円分取得して、運用中に時価が1200万円になったとしても、残りの生涯投資枠が 1800万円ー1200万円=600万円 になるわけではありません。あくまで取得価格が1800万円までなので、この場合は 1800万円ー1000万円=800万円 の投資枠が残っていることになります。
・非課税枠の再利用が可能になる
新NISAの最大のメリットは前述した制度の恒久化で、その次にあげるとしたらこれでしょう。非課税枠が再利用できるようになります。
現状の制度では一般NISAもつみたてNISAも非課税枠は途中売却は可能ですが、再利用はできません。例えば一般NISAで今年100万円分の株式を購入したら残りの非課税投資枠は 120万円ー100万円=20万円 ですが、途中で50万円売却しても非課税投資枠は残り20万円のままです。
しかし新NISAでは途中売却した場合、その分の非課税投資枠が再利用できます。つまり生涯投資枠一杯の投資をしたとしても途中で一部売却をすれば、その分が再利用可能になり新たに投資可能となります。
以上の特徴をふまえて新NISAの活用の仕方を考えてみましょう。
最大の特徴である制度の恒久化を活用しない手はありません。つまりなるべく長い期間、非課税投資をしておくのがいいことになります。理屈ではなるべく早く生涯投資枠一杯の投資をし、可能な限り長く運用しておいた方がよいでしょう。
年間投資枠は成長投資枠240万円、つみたて投資枠120万円の計360万円なので、投資枠いっぱいまで投資し、最短5年(生涯投資枠1800万円÷年間投資枠360万円=5年)で生涯投資枠を使い切り、あとはひたすら放置というのが最も理にかなっています。長期投資はとにかく早く開始し、とにかく長い期間運用し、複利の力を最大限に発揮するのが王道と言えます。しかし年間360万円も投資できる人は稀でしょうし、制度が恒久化されたのはあくまで長期積み立て投資を推奨するためです。無理のない範囲で気長に投資を続けることが一番大切でしょう。
そして2番目のメリットである非課税枠の再利用についてはどうでしょうか?途中で十分な利益がでた場合は途中売却して利益を確定し、その分の非課税枠を再利用して別の投資商品の購入をした方がよいでしょうか?様々なケースがあるので一概には言えませんが、あまり売却を繰り返さない方がよいでしょう。新NISAも基本的には長期投資が主軸となります。途中売却した場合は、その後の運用益を手放すことになり、新たな投資商品を購入しても非課税期間はその分短くなります。頻繁に売買を繰り返すと、その分長期投資における複利の恩恵を失うことになります。
しかし人生には様々なイベントがあり、多額の資金が必要になることもあります。例えば子供の大学入学(特に私大)、住宅購入など多額の出費を伴う場合には、新NISAで運用した投資商品の取り崩しは全然ありです。その際に十分な利益がでていれば、その非課税メリットを存分に味わい、また売却した分の非課税枠は再利用できます。このように投資商品の取り崩しに柔軟に対応できるのは新NISAの非常に優れている点と言えます。
今回の記事で新NISAについては理解できたでしょうか?
投資はいかに上手く増やせるかも大切ですが、いかに上手に使うかも同じくらい大切と言えます。制度の内容をよく理解したうえで、増やした資産をどう使っていくかも考えて、人生をより良いものにして下さい。

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