8月1日に国税庁が”「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)(雑所得の例示等)”に対する意見公募手続の実施を募集し、世間で衝撃が走っています。この内容を一言で表すと、収入が300万円以下の副業は事業所得ではなく、雑所得とみなすということです。これにより何が問題になってくるかというと、副業をしている人が増税を強いられることになります。事業所得と雑所得の違いは何なのか、なぜ事業所得から雑所得になると増税になるのか、その辺を詳しく見ていきたいと思います。
現在様々な税理士YouTuberの方が詳しく解説していていますが、私のブログでも負けないくらい理解してもらえるよう頑張ります。
まず所得の種類について確認しておきましょう。
所得には10種類あり、どのような収入もいずれかの所得に分類されます。

例えば生命保険の解約返戻金、ふるさと納税の返礼品、競馬の払戻金などは一時所得、株や土地の売却益は譲渡所得、年金や作家以外の人に支払われる原稿料などは雑所得です。
今回の国税庁の通達の論点になるのは副業による収入です。副業による収入は事業所得か雑所得になります。多くの副業は雑所得になりますが、人によっては開業届を提出して個人事業とし、事業所得として確定申告している人もいます。
そして問題点は事業所得か雑所得かの定義があいまいであることです。
国税庁では「事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得」としか定義していません。例えば副業としてハンドメイドのものを売って収入を得ている場合、小売業として生じた所得と解釈すれば事業所得といえます。明確な基準が規定されていませんので、多くの人が「開業届を提出=事業所得」として申告していました。税務署も基本的には性善説で申告された通りに受理していました。そこに今回の通達で「雑所得の範囲の明確化」がされたことにより、今まで事業所得として申告していたものも、雑所得として申告しなければならない事態になったわけですね。
それでは具体的な中身を見てみましょう。
通達の原案はこちらになります ⇒ 「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)の概要
内容を簡単にまとめると、事業所得か雑所得かは、所得を得るための活動が、社会通念上事業といえる程度で行われているかで判定されます。
例えば時間が出来たらアクセサリーを手作りし、数が溜まったらネット販売しているとか、人に頼まれたときにだけ家庭教師をしているなどは事業と言える程度ではありません。いくら開業届をしていても、このようなケースでは雑所得になります。
また「その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が 300 万円を超えない場合には、特に反証がない限り、業務に係る雑所得と取り扱う」と書かれています。
事業と言える程度であっても、その収入主な収入源でなかったり、収入が300万円を超えないと雑所得になってしまいます。
つまり事業所得として認められるには
①社会通念上事業といえる程度の活動をしている
これが曖昧な表現で難しいですが、営利性・有償性があり、継続性・反復性があることは必要ですね。
②その者の主たる所得である
本業の合間のお小遣い稼ぎではなく、その収入が主な収入源でなくてはなりません。
③主たる収入でない場合は300万円を超える
主たる収入でなくても、300万円を超える収入がある場合は事業所得として認められます。しかし300万円以下では、特別な事情が無い限り無理そうです。
以上の要件を満たしている必要があります。
そのため副業で事業所得と認められるのは、かなりハードルが高いでしょう。まず第一に営利性・有償性があり、反復・継続している形態でなくてはなりません。
それ1本で生活している人は、たとえ収入が少なくても事業所得になります。「その所得がその者の主たる所得」になるからですね。
一方会社員が本業の合間に副業をしている場合、事業といえる程度の活動をしていて
・本業の収入を上回る(もはやどちらが本業か分かりませんが)
・300万円を超える収入を得る
のどちらかを達成しないと事業所得にはならないということになります。副業としているケースでは、単価の高い専門的な内容(Webデザイン、プログラミングなど)でもない限り300万円を超えるのは困難でしょう。
今回の記事では事業所得と雑所得の違いについて説明してみました。長くなりそうなので、雑所得になるとどのような不利益があるかは次回の記事に持ち越します。

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