事業所得での申告が困難に② 事業所得から雑所得になった場合の違い

税金の知識

前回の記事で副業を事業所得として申告するのが困難になることを解説しました。今回の記事では雑所得になると具体的にどのような不利益があるのかを解説します。

事業所得から雑所得になる場合の不利益は大きく2個あります。

・青色申告が出来ない
青色申告とは日々の取引を一定の帳簿に記帳し、その記録に基づいて確定申告を行うものです。
※青色申告以外の確定申告は白色申告といいます。
青色申告を行うには青色申告承認申請書を提出しなくてはなりません。既に事業を行っている場合はその年の3月15日までに、新規に事業を開始しする場合は事業開始が1月15日までなら、その年の3月15日までに、1月16日以降なら業務開始から2ヶ月以内に提出が必要となります。
正規の簿記の原則に従って作成された帳簿の備え付けが義務付けられており、仕訳帳、総勘定元帳などの帳簿、貸借対照表、損益計算書などの決算書類が必要となります(保管期間は7年)。
※簿記の形式は複式簿記の他に簡易簿記でも可能です。

青色申告にすると様々な特典があります。
全て挙げるとキリが無いですが、主なものは以下のようなものがあります。

最大のメリットは青色申告特別控除でしょう。青色申告をしてe-Taxで申告していれば65万円も控除が受けられるので、やらない理由がありません。
また30万円未満の減価償却資産を一括して経費にできるのはありがたいですね。例えば20万円のPCを事業用に購入した場合、本来なら4年かけて償却しなくてはなりませんが、青色申告をしていれば一括で経費に計上できます。

このようにメリットが満載の青色申告ですが、青色申告できるのは不動産所得、山林所得、事業所得だけです。雑所得は青色申告が行えません。これにより控除や計上できる経費が減ることによって、結果として増税になるわけです。


・損益通算が出来ない
損益通算とはある所得で損失が生じた場合、他の所得の黒字からその損失を差し引くことができることです。
例えば給与所得が500万円で、個人事業で100万円の損失が生じたとします。この場合、個人事業で生じた100万円の損失を、給与所得500万円から差し引くことができます。つまり合計所得の400万円に課税されるわけです。(正確にはこれから所得控除を差し引いた課税所得金額に課税されます)

これは節税にはかなり有効な策です。あくまで”所得”の損失を差し引くことになりますので、キャッシュフローは黒字でも、様々な経費を計上した結果、帳簿上は赤字になるケースも多いです。不動産なんかは建物の躯体と設備の減価償却費が大きいので、特に大きく節税できます。
⇒ 不動産投資をしている理由
個人事業の場合は自宅の家賃や電気代の一部(自宅を事務所として使っている割合分)、飲食費(接待や打ち合わせに使用した分)などが経費に計上できるので、利益が出ていても”事業所得”としては赤字にすることは可能です。実際に頭のいい人は副業でお金を稼ぐだけではなく、節税もしっかり行えていたわけですね。

そして損益通算できるのは不動産所得、山林所得、譲渡所得、事業所得だけです。雑所得になると損益通算ができません。
先ほどの例のように給与所得で500万円、副業(雑所得)で100万円の損失が出たとしましょう。雑所得の損失は通算されないので、給与所得500万円に課税されて、雑所得は課税も通算もされずに終わりです。


ここまでで事業所得から雑所得になることによりデメリットは分かったでしょうか?青色申告ができなくなることによって増税し、損益通算ができなくなることによって節税もできなくなるわけです。

今回の通達は令和4年度分から適応されます。つまり今年の副業から多くが雑所得になるわけです。やることなすことが遅い国ですが、増税に関しては最速で動きます💦
さてこの改定における対策ですが、私の結論は「副業はやり続ける」「経費は漏れなく計上する」です。過去にも書いたように私は副業推進派です。特に本業とは違う分野の副業をすることで見聞が広がりますし、何より自身で稼ぐ能力が身に付きます。
そしてよく勘違いしている人も多いですが、雑所得でも経費は認められています。家賃や電気代の一部、接待飲食費、通信費の一部を経費にすることは可能です。何がどの程度経費に計上できるかについても明確な基準はなく、税務署の判断によります。しかし何も計上しないと無駄な税金を支払うだけです。税理士や周りの詳しい人に相談して経費の計上漏れに注意しましょう。

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