ふるさと納税 正しく理解して最大限に活用!

税金の知識

サラリーマン、自営業関係なく誰でも確実に節税できるのはふるさと納税でしょう。厳密にいうと税金を先払いして、その分が所得税や翌年の住民税から控除される仕組みなので節税とは違うかもしれませんが、返礼品によっては確実に得します。ふるさと納税を行った場合、確定申告をするかワンストップ特例制度を利用するかで迷っている人もいると思います。今回はふるさと納税による控除の仕組みと、どちらを選択した方がよいかを理解してもらえればと思います。

まず初めてにふるさと納税についておさらいしましょう。
ふるさと納税とは自分の選んだ自治体に寄附を行うと、寄付した金額から2000円を引いた額が所得税や住民税から控除される制度です。先述したように税金の前払いと同じですが、自治体から返礼品がもらえます。返礼品によっては結構高額なものも用意されているので、実質2000円の負担で高額な返礼品がもらえることになり、毎年ふるさと納税が過熱しており、また自治体も寄附金を集めたいのでコスパの良い様々な返礼品を用意するわけですね。
※あまりにも返礼品が高額になりすぎたり、換金性の高いものが散見されたため、2019年6月以降の返礼品は「返礼率は寄附金額の3割以下」「地場産品であること」といった基準が設けられました

ふるさと納税の仕組みが分かったところで、納税後の手続きについて確認しましょう。
ふるさと納税を行った場合は基本的には確定申告をします。この場合の控除額は以下のようになります。

まず住民税基本分として(寄付した金額ー2000円)×10%が控除されます。
次に住民税特例分として(寄付した金額ー2000円)×(90%ー所得税率)が控除されます。
さらに所得税の控除として(寄付した金額ー2000円)×所得税率が控除されます。

所得税率は収入によって5%~45%まで変わりますが、住民税特別分は90%ー所得税率となっているので、所得税率がいくらでも、寄附した金額ー2000円の100%が控除される仕組みです。


実際に例を出してみてみましょう。
年収500万円、1人暮らし(医療費控除等は無し)の人とします。このケースでは課税所得金額はだいたい230万円くらいになります。この場合所得税率は10%です。

所得税速算表(国税庁HPより抜粋)

この人が年間30000円ふるさと納税をしたとすると
住民税基本分 (30000ー2000)×10%=2800円
住民税特例分 (30000ー2000)×(90%ー10%)=22400円
所得税分 (30000ー2000)×10%=2800円
合計で 2800+22400+2800=28000円 が控除されることになります。
30000円から2000円を引いた額が住民税および所得税から控除された形になりますね。30000円寄附した場合、おおよそ9000円分(返礼率3割)の返礼品がもらえることになります。実質2000円の負担で9000円分の米や地酒、カニやフルーツなどの豪華な買い物ができるイメージです。(私は去年カニや馬刺しを頂きました)


ここまでで確定申告による控除の仕組みは理解できたと思います。しかしサラリーマンなどでは確定申告をしたことが無い人も多く、確定申告のハードルが高く感じる人もいるでしょう。それらの人のために設けられたのがワンストップ特例制度です。

ワンストップ特例制度は確定申告を行わなくても控除を受けられる制度です。
ワンストップ特例制度を受けるにはWebサイトでふるさと納税をする際に、ワンストップ特例制度の申告書を要請します。

すると返礼品と一緒にワンストップ特例制度の申請書が送られてくるので、それを同封された返信用封筒で返送するだけです。(申請書にはマイナンバーカードの写しを添付する必要があります)
これだけで手続きが完了するので、面倒くさがりの人にはピッタリでしょう。

注意事項として以下の点が挙げられます。
確定申告をする人はワンストップ特例制度を利用できない
⇒医療費控除等を利用する人は一緒に確定申告するしかありません。
・寄附可能な自治体は5団体まで
⇒5団体を超えて寄附する場合は確定申告を選ばなくてはなりません。

ワンストップ特例制度を利用した場合、控除される内容が確定申告を若干異なります。
ワンストップ特例制度を利用した場合は全額が住民税からの控除となり、所得税からは控除されません。内訳は以下のようになります。

住民税基本分として(寄付した金額ー2000円)×10%が控除
住民税特例分として(寄付した金額ー2000円)×(90%ー所得税率)が控除
ここまでは確定申告の場合と一緒ですね。しかし先ほど申し上げたように、所得税からは控除されません。しかし所得税の控除に対応する分として、申告特例分が(寄附金した金額ー2000円)×所得税率だけ控除されます。

つまり確定申告を選んでも、ワンストップ特例制度を選んでもトータルで控除される金額は変わらないことになります。違いとしては 確定申告⇒所得税・住民税から控除 ワンストップ特例制度⇒全額住民税から控除 です。

結論としては確定申告が不要な人はどちらを選んでもよいことになりますが、実は例外があります。その1つが限度額を超えて寄付する場合です。
ふるさと納税を行うにあたって、寄附可能な額には上限があります。
ふるさと納税の控除限度額は以下の計算式で算出されます。

住民税所得割額は所得税同様に収入から、各種控除を差し引いて求めます。基礎控除や生命保険料控除など、所得税の場合と金額が異なるものもあるので注意が必要です。給与所得者なら市町村から送られてくる「給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額通知書」を見れば、市民税・県民税の所得割額が記載されています。
その他にもいくつかの項目を入力するだけで、簡単にシュミレーションしてくれるサイトも存在します。 ⇒ ふるなび 控除シミュレーションと計算方法

つまりこの控除限度額までの寄付なら、自己負担2000円で返礼品が受け取れることになります。しかし限度額を超えて寄附を行ってしまうと、どうなるでしょうか?
結論から言うと寄附金控除が受けられます。ふるさと納税は寄附金控除の一種です。ふるさと納税の控除限度額を超えた分は、一般の寄附金控除が適応されることになります。
例えばふるさと納税の寄附金上限額が50000円だった人が、60000円寄附したとしましょう。50000円まではふるさと納税が適応され、残りの10000円に関しては一般の寄附金控除の対象となります。

先ほど例に出した年収500万円の人で見てみましょう。ふるさと納税の寄附金の限度額をシュミレーションすると61000円です。この人が85000円のふるさと納税をしたとしましょう。
61000円まではふるさと納税可能ですが、残りの24000円に関しては一般の寄附金控除の対象となります。ここで先ほどの図を振り返ります。

住民税特別分はふるさと納税特有の控除なので、一般の寄附金控除には適応されません。所得税分、住民税基本分が控除されることになります。
この人の所得税率は10%でしたので、所得税は 24000円×10%=2400円 が控除されます。
住民税率は一律10%なので、住民税は 24000円×10%=2400円 が控除されます。
※既にふるさと納税で2000円差し引いているので、控除限度額から超えた分24000円に直接税率を掛けます
ふるさと納税で 61000ー2000=59000円 控除され、さらに一般の寄附金控除で 2400+2400=4800円 が所得税・住民税から控除される仕組みですね。

ではこの人がワンストップ特例制度を利用した場合はどうでしょう?先ほどの図を見直しましょう。

ワンストップ特例制度では所得税からの控除はありません。住民税特別分および、ワンストップ特例制度を利用した場合の申告特例分はいずれもふるさと納税特有の控除なので、一般の寄付金控除では適応されません。つまり同様の金額を寄付した場合、控除限度額を超えた分に関しては、住民税基本分の控除があるだけとなります。
ワンストップ特例制度を利用すると、ふるさと納税で 61000ー2000=59000円 控除され、さらに一般の寄附金控除で住民税から 24000円×10%=2400円 控除される仕組みですね。

ここまでの説明で理解できたでしょうか?ふるさと納税の上限額を超えて寄付した場合、ワンストップ特例制度を利用すると、確定申告した場合に比べて、所得税の分だけ損をすることになります。
上限をこえて寄附した場合は確定申告をするようにしましょう!


もう1つ住宅ローン減税と併用するケースについて見てみましょう。
住宅ローン減税は所得税の税額控除であり、年末の住宅ローン残高の1%(2022年以降の借り入れを行った場合は0.7%)が所得税から直接控除されます。そして所得税から控除しきれない分は翌年の住民税から控除されます。(住民税からの控除限度額は課税所得金額の7%、上限は136500円)

これも結論から言うと、住宅ローン減税と併用する場合はワンストップ特例制度を利用する方が有利な場合があります。住宅ローン減税は所得税の税額控除です。ふるさと納税で確定申告をした場合、所得税控除、住民税控除を受けたのち、最後に住宅ローン減税で所得税が税額控除されます。

所得税が全額控除されると、残りの分が住民税から控除されるわけですが、この住民税からの控除には前述した限度額があります。もし住民税からの控除限度額に達している場合、所得税が少なくなっても、住宅ローン減税による住民税からの控除額は変わりません。つまりふるさと納税しても所得税の控除は得られず、住民税からの控除だけ受けられることになります。

ではワンストップ特例制度を利用した場合はどうでしょう?
ワンストップ特例制度は全額住民税からの控除なので、所得税に影響を与えません。前述したように全額が住民税からの控除となります。住宅ローン減税による住民税からの控除が上限に達していても、ワンストップ特例制度による住民税の控除は受けられます。つまり住民税からの控除を多くした方が有利というわけです。

つまり住宅ローン減税を受けている人で
①所得税を全額控除できている
②住民税からの控除も上限額に達している
の2点を満たす人はワンストップ特例制度を利用した方が得になります。


長々書きましたが、確定申告とワンストップ特例制度の内容と、どちらかを利用した方が有利なケースがあることは理解できたでしょうか?
ふるさと納税は誰もが得をする、資産形成には必須の制度と言えます。ワンランク上の資産形成を目指す人は少し詳しく勉強して、制度の利点を最大限活用してもらえたらと思います。

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